〔目次〕 ■ 巻頭随筆 境界と地図 ■ 特集 境界と地図 日本のいろいろな境界線 世界の境界線 海の境界線と地図 宗教と境界−飯豊山・鳥海山・蔵王山を事例として 空の境界 ■ 地図楽 読図のヒントX−数縮尺と線縮尺− 紙の地形図をじっくり眺めてみよう 第3回 記号をあれこれ詮索してみる 海の地図を教材に使おうB −沿岸漁業の地域性を水路特殊図から読図する− ■ 文献紹介 『地図の科学』 『最新版 2万5000分の1地図』 『日本を旅する 大旅行地図帳』 『地球診断』 ■ 巡検報告 「迅速測図と東京スカイツリー」に参加して 「古河巡検」に参加して ■ 資料室 2010年8月〜10月 地図情報センターからのお知らせ 付録 「大戦下の最新世界地図」 |
地図情報 Vol.30 No.4 通巻116号「境界と地図」
〔付録解説〕大戦下の最新世界地図 昭和16年12月25日 朝日新聞社発行本号の「境界と地図」特集に合わせ、かつての国境を示した地図を探してみた。 日本の家庭に地図を普及させるのに大きな役割を果たしたものの一つに新聞社の発行した地図があった。古くは陸羯南創刊の「日本」の県別地図にはじまり、日清・日露戦争を機に、大手の新聞社では付録として多くの地図が作られた。新聞の記事との連動で、戦場となっている地域の地図のほか、東京など都市図、世界図も多く作られた。 第2次世界大戦中の世界地図を見ると、アジア、アフリカ、オセアニアの大部分がヨーロッパ諸国やアメリカ合衆国の植民地になっている。イギリス領であるインド亜大陸は西ヨーロッパとほぼ同じ広さであるにもかかわらず、世界地図のほとんどはメルカトル図法に拠っているので、中高緯度のヨーロッパは比較的大きく、低緯度のアフリカ、インド、南アジアは小さく表現されている。 第2次世界大戦中の地図業界の統制下による日本統制地図(株)(菊地正浩氏の『「地図」が語る日本の歴史』2007に詳しい)の設立以降、地図の刊行は軍や内務省の干渉(検閲)を受けるようになる。本図上の「認」印はチェックを通過した地図であることを示している。 あらためてこの地図を眺め、現在の世界情勢と旧植民地宗主国との関連など、現在の地図と比較してみると興味深い。 (清水 靖夫 (財)地図情報センター理事) 〔付録〕大判地図 |
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