〔表紙解説)クーンブ・ヒマール 鳥瞰図
1970年に始まった国際水文学10か年計画地球の水資源調査の一環として、名古屋大学水研は、1968年から連続して行ってきた北アルプスの越年雪分布のデータを、『アトラス・オブ・ペレニアル・スノー・パッチズ・イン・セントラル・ジャパン』(81頁、1971)に空中写真、5万分の1分布図、計測データをまとめて発表した。この撮影と図化・計測は私が担当した。世界中の水資源の調査にはヒマラヤの氷河についても含まれており、当時世界で最も多くの登山隊を送り出していた日本が、ネパール・ヒマラヤをまとめたらという意見が寄せられていた。
38豪雪の作業以来、雪氷学会のメンバーとして日本の越年雪調査を行ってきた私としては、その延長線上にヒマラヤの調査があった。
広大なヒマラヤの調査は、空中写真の利用なくしてはできない。私は1970年11月、72年1月、74年12月、78年11月、81年11月と、空から斜め写真で記録を繰り返した。その写真を利用しての記録画や図を作って、雑誌の連載や著書にあて生計を支えてきた。
このクーンブ・ヒマールの鳥瞰図も、エヴェレスト・ビュー・ホテル(図中央やや下部の緑の樹林にある)のために作成したものである。
(五百澤智也 評議員・地理研究業)